マンション管理適正化法の解説

マンション管理適正化法
マンション管理士:5問前後 この科目の免除制度 |
管理業務主任者:5問前後 この科目の免除制度 |
立場上の違いはあるものの、マンション管理のプロであるマンション管理士や管理業務主任者にとって、マンション管理適正化法の理解・習得は欠かせません。
この分野は本試験でも毎年5問程度は出題されています。出題場所としては、どちらの試験も、最後から5問目以内(問46~問50)におかれています。
この5問の中で1問程度は、『マンションの管理の適正化に関する法律施行規則』や『マンションの管理の適正化に関する指針』からの出題もあります。
マンション管理士、管理業務主任者に合格した者には、相互にこの分野の免除制度がありますが、これは「どちらの資格にとっても共通の分野であり必ず理解しなければならない法律である」という、試験主催者側の意図として感じることもできます。(勝手な想像ですが・・・)
免除制度がある以上、この分野の免除を受けている受験生(すでに5点獲得している受験生)が存在することは間違いありません。資格取得後実務を担う為にも、またその前に合格を勝ち取るためにも、この5問は全問正解が求められますし、ちゃんと学習すれば全問正解できる分野だと思います。
さて、マンション管理適正化法ですが、平成12年に制定され、正式名称は『マンションの管理の適正化に関する法律』とされています。通称、マンション管理適正化法やマン管法等と呼ばれています。宅建業法のマンション管理版のようなものです。この法律の制定により、マンション管理士や管理業務主任者資格が創設されました。その後、改正を経て現在の法律となっています。
条文は113の条文で構成されています。ボリュームもほどほどあり、非常に重要な法律ですが、宅建を勉強した人や勉強中の人であれば、宅地建物取引業法(宅建業法)に良く似た構成となっていますので、比較的理解し易い法律です。
マンションの定義、マンション管理士、管理業務主任者、マンション管理業者等についてどのような定めがあるのか?イメージをしながら法律やマンション管理の仕組みを理解すると同時に、ウルオボエではなく性格に暗記して下さい。
この法案審議の中にこの法律を読み解くヒントがあると思いますので、参考までに以下に引用します。
必要最低限のポイントが初心者にも分かり易く図示・図解されたテキスト等もありますので、バイブルとして一冊手元に置くことをおススメします。
【関連】
※マンション管理適正化法の出題数などの状況は、過去問題・試験の分析でご紹介しています。
※条文:マンション管理適正化法
※条文:マンション管理適正化法施行規則
※指針:マンション管理適正化法指針
マンション管理適正化法の法案審議
第150回国会 衆議院 建設委員会(国会議事録)⇒『第4号』を参照
第4号 平成12年11月22日 議事録引用
(前略)
○山本有二議員 マンションの管理の適正化の推進に関する法律案につきまして、その趣旨及び主な内容を御説明いたします。
土地利用の高度化の進展等に伴い、都市部における持ち家住宅として定着いたしました分譲マンションは、そのストックが約三百七十万戸に達し、約一千万人が居住するなど、国民の住生活上、その重要性が増大しております。
マンションにおける快適な居住の実現と良質な住宅ストックとしての維持保全に当たっては、その管理が適切に行われることが必要でありますが、マンションの管理に当たるそれぞれの管理組合は必ずしも管理業務に精通していないこと、管理組合と業務を委託している管理業者が契約内容や金銭処理等に関しトラブルを起こす例があること、マンションの管理に関する専門知識を持った人材や相談体制が不十分であること等、適切なマンションの管理の推進に当たっての課題が存在しております。
このような状況にかんがみ、本案は、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンション管理の適正化を推進するための措置を講ずることによりまして、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的として提案するものでございます。
次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、国土交通大臣は管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針を定めることとするとともに、管理組合及び区分所有者はマンションの適正な管理に努めなければならないものとし、国及び地方公共団体は必要な情報提供等に努めなければならないものとしております。
第二に、国土交通大臣の登録を受けて、管理組合の運営その他のマンションの管理に関し、管理組合の管理者等の相談に応じ、助言、指導等を業務として行うマンション管理士の資格制度を創設するものとしております。
第三に、管理組合から委託を受けてマンションの管理に関する事務を業とする者について、マンション管理業者としての国土交通大臣の登録及び管理業務主任者の制度を整備するとともに、その業務に関し必要な規制、監督を行うものとしております。
第四に、国土交通大臣は、管理組合によるマンションの管理の適正化の推進を図ることを目的とする財団法人のマンション管理適正化推進センター及びマンション管理業者の業務の改善向上を図る事業を行う社団法人を指定することができることとしております。
第五に、宅地建物取引業者は、管理組合の管理者等へ設計図書を交付しなければならないものとしております。
以上が、本案の提出の趣旨及び主な内容でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようよろしくお願い申し上げます。
(中略)
○山本有二議員 まず三者、すなわち、マンション管理士、管理業務主任者及び既存の区分所有管理士、この三者でございますが、管理業務主任者と区分所有管理士、この二つは、管理業者の社員あるいは職員、従業員、こういった人たちが獲得するべき資格でございます。マンション管理士は、それに限らず、広く一般人が管理士になることを予定しております。
次に、個々の具体的な違いでございますが、マンション管理士は名称独占資格でございます。名称独占資格というものは、マンション管理士というような意味合いでの紛らわしい資格は許さない、この者だけでございます、国家資格でございます。これは、マンションの管理組合に対する指導、助言その他の援助に限られた行動をすることが予定されております。
次に、管理業務主任者は、これはこの法案で与えられる国家資格でございますが、管理業者のいわば社員、従業員でございます。この方々が第一線の現場で働くにおいて必要な資格でございます。
(中略)
○山本有二議員 マンションの管理は、多数の区分所有者間の合意を要し、法律、技術上の専門的知識が必要となることから、こうした知識、ノウハウを十分に有しない区分所有者には適切な対応が難しい現状にございます。
このため、管理組合活動の停滞、管理規約の未整備、長期修繕計画の未整備等の問題が生じておりまして、行政による支援等を求める声がマンションの居住者等から寄せられております。
マンションの管理について生ずるトラブルは、各当事者間の問題でございまして、民事上の問題に該当しますけれども、さきに述べましたように、区分所有者等のみでは適切な対応が既に困難である現状にございます。区分所有法、民法では、このような問題に対応するには限界がございます。本法律案によりまして、行政として必要な支援体制等を整備する必要があると認識しております。
このため、本法律案におきましては、国、地方公共団体は、管理組合またはマンションの区分所有者等の求めに応じ、必要な情報及び資料の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならないというようにしておるところでございます。
(後略)
分野別解説一覧
・区分所有法
・民法
・マンション管理適正化法
・標準管理規約・標準管理委託契約書
・被災区分所有法・マンション建替え円滑化法
・建築基準法
・修繕、建築・設備
・マンション会計
・その他の法令等