マンション管理士と管理業務主任者の立場上の違い
どちらも、平成13年に施行されたマンション管理適正化法により創設された国家資格ですが、マンション管理士と管理業務主任者の違いは、どんなところにあるのでしょうか。

基本的には、マンション管理士は管理組合側からの相談等により、管理組合側の立場にたって助言、指導その他の援助を行う者であり、管理業務主任者はマンション管理業者側の業務を適正に行うために設置される者です。
両者とも、適正なマンション管理を行なうための専門家ですので、見つめる方向は同じですが、その立場は対照的です。
例えば、Aマンション管理会社と管理委託契約を締結している管理組合が、Aマンション管理会社のサービスに満足いっておらず管理会社の変更を検討する場合に、マンション管理士に助言を求めたり、サポートを求めたりすることがあります(管理会社変更を専門とするマンション管理士もいます)。
どちらかというと管理業務主任者は、マンション管理会社に所属しますのでサラリーマン型ですが、マンション管理士は、独立・起業型のコンサルタント系の資格と言えます(建築士や行政書士等が業務の幅を広げるために、マンション管理士を取得する場合も多いです)。
マンション管理士については、管理組合役員が、管理の知識を習得するために資格を取得するケースや、マンション管理会社へ勤務している人が管理業務主任者に加えて、更に専門性を高めるためにマンション管理士を取得するケースもあります。
どちらの資格を取得するかは、今後どのような仕事をしたいのか、また、現状の立場に応じて決めることをお勧めします。もちろん、両方同時に受験、取得することも可能ですし、片方合格すればもう一つの資格の試験が一部免除される制度もあります 。
マンション管理士と管理業務主任者の比較表
マンション管理士 | 管理業務主任者 | |
性質 | 独立・起業型 | 安定・サラリーマン型 |
できること(価値) | ①名称独占:「マンション管理士」と名乗ることができる。 ②マンションみらいネットの登録補助者となれる。 | マンション管理業者は30組合に1名の成人で専任の管理業務主任者を置く義務あり。 管理業務主任者でないと管理組合との管理委託契約締結等の際の以下の手続き(業務)を行なうことはできない。 ①重要事項の説明 ②重要事項説明書説明書へ記名押印 ③契約成立時の書面に記名押印 ④管理事務報告の説明 ※管理業者によって資格手当てあり。 |
なるための要件 | ①国家試験に合格 ②指定機関に登録 | ①国家試験に合格 ②指定機関に登録 ③管理業務主任者証の取得 |
試験回数 | 年1回 | 年1回 |
試験時間 | 例年、11月最後の日曜日 13:00~15:00(120分間) | 例年、12月最初の日曜日 13:00~15:00(120分間) |
試験地 | 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市及び那覇市並びにこれら周辺地域 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇、計8地域 |
受験資格 | 受験資格なし(誰でもOK) | 受験資格なし(誰でもOK) |
受験料金 | 9400円 | 8900円 |
合格発表 | 例年、1月中旬 | 例年、1月下旬 |
合格率 | 7~8%台 | 20%前後 |
合格証書・資格証 | こちら(実物) | こちら(実物) |
難易度 | やや難しい | 普通 |
試験・講習機関 | 財団法人マンション管理センター | 社団法法人マンション管理業協会 |
登録機関 | 財団法人マンション管理センター | 地方整備局長等 |
有効期間 | 登録の取り消しがない限り期間の定めなく有効 | 5年間(管理業務主任者証の有効期間) |
更新手続 | なし。 但し、5年毎に講習の受講が必要。受講しない場合は、登録の取り消し処分もあり得る。 | 指定機関の講習を受講 |
詳細 | マンション管理士 | 管理業務主任者 |