
管理組合とは?(2)業務・組織・役員
前のページ(管理組合の定義)で、管理組合とは、区分所有者みんなで共有の財産を管理するための団体だということが分かったと思います。
それでは管理組合がどんなことを行なうのか、具体的な業務内容については、標準管理規約から抜粋してみてみたいと思います。
【改正マンション標準管理規約(単棟型)】
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。
一管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
二組合管理部分の修繕
三長期修繕計画の作成又は変更に関する業務
四建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
八区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
九敷地及び共用部分等の変更及び運営
十修繕積立金の運用
十一官公署、町内会等との渉外業務
十二風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
十三防災に関する業務
十四広報及び連絡業務
十五地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
十六管理組合の消滅時における残余財産の清算
十七その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務
このように敷地や共用部分の日常的な管理や修繕(修繕の計画)からはじまり、対外的な渉外業務や防災、損害保険、財産の管理等々、幅広い業務を行っていることがわかります。こうしてみると、実に沢山のことをやっていますが、実際に建物を維持していくという観点から想像してみると、当たり前のことかもしれません。活字になっていることを実際の生活に置き換えてイメージしてみると、更に理解することができると思います。
管理組合の組織

①総会 | 最高機関(意思決定機関) |
②理事会 | 業務執行機関(運営機関) |
③監事 | 管理組合運営の監査機関(チェック機関) |
管理組合の組織構成は上図の通りとなっています。例えば、管理組合を株式会社の組織になぞらえて見てみると良く分かると思います。
総会は株主総会、理事会は取締役会、監事は監査役、組合員は社員といったようなイメージです。
重大な物事を決定する場合は、当然、意思決定機関である総会で行ないます。例えば、階段を壊してエレベーターを設置するとか、マンション入り口のドアを自動ドアにするような場合は、マンションにとって概観(見栄え)も変わりますし、工事にも沢山のお金がかかりますので、このようなことは総会で決定します。
また、今年度のお金の使用状況の報告(決算)や来年度の予算や役員をどうするか等といった毎年決めないといけないことも総会で決めていくことになります。どのようなことを総会で決めるかは管理規約に定めがありますが、大よそ重大な事項は、この総会で決定します。(区分所有法でいうところの「集会」にあたります)
次に、理事会では、予め総会や管理規約の中で定められた事項を日々の管理組合運営の中で執行していきます。例えば、総会で「今年はマンションに桜の木を3本植えましょう。費用は50万円で!」というようなことが決まれば、理事会がその予算の範囲内で、桜の木を選んで、造園会社に依頼するというようなイメージです。(簡単な例えですが・・・)左記の例に捉われず、マンションではこのようなことが沢山ありますので、マンションライフのルーティンワークをこなすところというようなイメージになります。
最後に、監事の位置づけはどのようになっているのでしょうか。上図でも、理事会にも属していません。監事は、理事会が管理組合の運営を適切に実行しているかどうかを監視する役割があります。お金の使い方はどうか、管理規約に違反したことはしていないか等々をしっかりと見届けるためにあるチェック機関なのです。
【区分所有法】
第34条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、2週間以内にその請求の日から4週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上で、議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で滅ずることができる。
管理組合の役員

役職 | 主な職務・特徴 |
①理事長 | マンションの代表者であり、区分所有法上の「管理者」となります。対外的な窓口となり、管理組合のまとめ役です。以下に記載した内容が大まか職務です。 (1)各種契約の契約者(銀行口座の名義人等) (2)総会・理事会の招集権者 (3)総会・理事会の議長 (4)総会で管理組合運営状況報告(本年度の事業報告) (5)議事録への署名・捺印、保管等 (6)規約原本の保管等 (7)規約違反者等への対応 (8)その他総会や理事会で執行を付与された事項の実施 |
②副理事長 | 理事長の補佐役。理事長に何かあった場合は、理事長の職務を代理する等。 |
③会計担当理事 | 修繕積立金の印鑑を保管したり、日々の会計チェックや、予決算の作成、内容確認等。 |
④理事 | 普通の理事は、マンションの色々な問題を理事会に参加して審議し、役割分担をしながら執行していきます。マンションによっては、役割に応じてオリジナルな役職が冠につくこともあります。(ex.マンションのごみや環境問題を担当する理事を環境担当理事とするetc…) |
監事 | 管理組合運営の監査機関(チェック機関) 理事会の運営や会計の執行状況に不正等はないか確認します。理事会に、毎回必ず参加する必要はないとされています。当然、理事ではありませんので、理事会での議決権もありません。もし、理事に不正等があった場合のために、総会を招集する権限も持ち備えています。 |