
専有部分とは何かを知る
大きな視点でここ(マンション管理適正化法)でいうところのマンションが理解できるようになったら、次は専有部分と共用部分です。
専有部分と共用部分でマンションは構成されている!
マンションという一つの大きな建物を分解してみて見ることにしましょう。
まず、細かいことは抜きにざっくりと定義してみると、専有部分はマンションの部屋、共用部分は専有部分以外の所ということになります。
マンションには、複数の人が部屋を所有し、居住していますので、どこまでが自分の所有物で、どこが他人の持ち物で、どこがみんなの持ち物なのか、しっかり理解しておく必要があります。共用住宅ですので、当然、他人の財産や共有の財産を侵害してはいけません。
マンション管理士や管理業務主任者資格試験でも、基礎中の基礎、基本中の基本事項です!
それでは、専有部分と共用部分を細かく見ていきたいと思います。
ポイント 共用部分=専有部分以外
ずばり専有部分とは?
専有部分とは、区分所有権の対象となるお部屋の部分です。分譲マンションの一室をイメージして下さい。マンションを購入した人が生活する部屋そのものを指します。
この部屋に関しては、当然ですが区分所有法や管理規約等に違反しない限り、部屋の所有者が自由に利用・維持・管理することが出来ます。ボロボロになるまで設備をそのままにしておくこともできますし、最新のキッチンやバスタブにしたければリフォームすることもできます。
さて、この専有部分ですが「区分所有権の対象となる」ためには、いくつかの条件があります。
それは、
①「構造上の独立性」を有すること。
②「利用上の独立性」を有すること。
の2つです。
まず、「構造上の独立性」ですが、これは物理的に部屋の構造が区切られていて、一部屋として独立している必要があります。壁や天井がちゃんとあって、部屋としての独立された空間を作っていないとだめなのです。
また、「利用上の独立性」とは、その部屋だけで独立して利用が出来る状態となっていることが必要だということです。大雑把に言うと、玄関がなくて隣の家(部屋)から出入りしないといけないような場合や、居住用であれば水周りの設備がなかったりすると、利用上の独立性は確保できないことになります。
区分所有法や標準管理規約では次のように定義されていますので、こちらも確認してみて下さい。
(余談ですが・・・)マンションによっては、リフォームや専有部分の用途に様々な制限があることがありますので、マンションを購入する際にはこの辺りのことも事前に確認しておくことが大切です。例えば、専有部分なのにペットが飼えなかったりなど・・・。。
【区分所有法】
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
【改正マンション標準管理規約(単棟型)】
第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
四 専有部分区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
この分野からの出題実績
【平成22年度 マンション管理士試験】
〔問
1〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)の専有部分等に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)によれば、正しいものはどれか。
1 区分所有者が全員で共有する専有部分については、規約で定めなくても共用部分とすることができる。
2 規約で定めれば、区分所有者の共用部分の共有持分とその有する専有部分は、分離して処分することができる。
3 専有部分以外のマンションの建物の部分は、すべて共用部分であり、それ以外の部分はない。
4 区分所有者は、区分所有権の目的である専有部分を自由に使用、収益及び処分することができ、規約によっても、制限されない。
【平成19年度 マンション管理士試験】
〔問
1〕
専有部分及び共用部分に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1
区分所有権とは、専有部分及び共用部分の共有持分を目的とする所有権である。
2
専有部分を共用部分にすることはできるが、共用部分を専有部分にすることはできない。
3
共用部分について規約を定めることができるが、専有部分について規約を定めることはできない。
4
一棟の建物の各部分は、専有部分か共用部分かのいずれか一方に属し、それ以外のものはない。