Q:自動ドア化は総会の特別決議事項(共用部分の重大変更)か?

A:当該工事が共用部分の重大な変更にあたれば特別決議事項になります。普通決議と特別決議を要する場合の基準については、標準管理規約では次のようにコメントされています。
『(前略)基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。』
つまり、一概に、「これは、こう」と言えない部分があるので、個別の工事概要を見て、その都度判断するということです。なお、標準管理規約のコメントでは判断材料として、次の例があげられてますので、参考にしてみて下さい。
– | 普通決議 | 特別決議 |
ア)バリアフリー化の工事 | 建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事 | 階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事 |
イ)耐震改修工事 | 柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいもの | – |
ウ)防犯化工事 | オートロック設備を設置する際、配線を、空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、防犯カメラ、防犯灯の設置工事 | – |
エ)IT化工事 | 光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも、建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元する工事 | – |
オ)計画修繕工事 | 鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事 | – |
カ)その他 | 窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事 | 集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うもの |
【区分所有法】
(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
【標準管理規約(単棟型)】
(総会の会議及び議事)
第47条総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一規約の制定、変更又は廃止
二敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
(後略)